現在の将棋界において、青嶋未来六段ほど個性的な棋士はいないでしょう。プロでは絶滅危惧種と言って差し支えない戦法・四間飛車穴熊を駆使する、ほぼ唯一の棋士だからです。
将棋の戦法は数多くあれど、「四間穴といえば青嶋」のように、戦法名がその棋士の代名詞になっている例は、ほとんどありません。プロ棋士として、これ以上強烈な個性があるでしょうか? いや、ない。
個性とは「その人にしかない資質・性質・能力」
ところで、そもそも個性とはなんぞや?
私は、個性とは「その人にしかない資質・性質・能力」のことだと思っています。別の言い方をすれば、「その人独特の武器」。武器なのですから、有効活用できるものでなければいけません。
まあ最近は、突飛なことや非常識も、個性という言葉で押し通して周りに迷惑をかける人が増えていますが……。
しかし、有効活用どころか味方を傷つける武器を武器とは呼べないのと同様、「だらしがない」「礼儀を知らない」といった、周囲に嫌な思いをさせる要素まで個性という言葉で片付けるのは違うと思います。
棋士の個性は盤上で表現されるべき
近年は、特徴的な格好や振る舞いをする棋士がメディアで取り上げられ、「個性的な棋士だ」などと言われたりします。
が、これ、ちょっと違うなと私は思います。
将棋を指すプロなのだから、「プロ棋士としての個性」は盤上で表現されるべき、というのが私の考えです。盤外でのことは一種のおまけみたいなもので、そこに着目して「個性的な棋士」などと評するのは変な気がします。
その点、四間飛車穴熊を駆使する青嶋六段は、盤上で個性を表現できていてカッコいいです。「他の人にはマネできないものを持っている」「職人芸」という言葉がピッタリ。こういうの、すごく憧れます。
実は四間飛車穴熊を多用まではしていない青嶋六段
ところで先日、その青嶋六段がNHK杯に登場しました。
(2021年5月2日放送 vs 横山泰明七段戦)
↓図は、その将棋の序盤。
オアー
三間飛車ミレニアムだッピ(笑)
いや、実際のところ、青嶋六段は四間穴ばかり使っているわけではないですからね。たまーに採用している程度なのが実情。それでもじゅうぶん個性的な棋士です。
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