振り飛車一筋・KYSの将棋ブログ

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王将戦リーグ 藤井二冠 vs 永瀬王座 左美濃はなかったか?

2020(令和2)年10月26日、渡辺明王将(三冠)への挑戦権をかけた、王将戦リーグの藤井聡太二冠 vs 永瀬拓矢王座。
ここまで2連勝の永瀬王座が、挑戦に向けて加速するか?
2連敗中の藤井二冠が、崖っぷちで踏みとどまるか?

今回の記事は、この一戦の感想を書いてみます。

 

永瀬王座の四間飛車採用は今後の藤井戦にもつながる


この対局、永瀬王座が四間飛車を選択したことがサプライズ。
藤井二冠も「予想していなかった」とのことですが、そりゃーそうだよなあ。

いや、永瀬王座は元・振り飛車党ですから、アリといえばアリです。
しかし、三間飛車や中飛車が多かったイメージなので、四間飛車は私もびっくりしました。

藤井二冠相手に相居飛車では分が悪いと踏んだ(=消極的選択)のか、それとも四間飛車に自信があった(=積極的選択)のか。

まあ理由はともあれ、永瀬王座の四間飛車は効果抜群だったと思います。

というのは、これからも藤井 vs 永瀬というカードは数多く発生するはず。
藤井二冠に「永瀬は振り飛車も指してくる」→「何をやってくるかわからない」というイメージを植え付けておけば、それだけ作戦を狙い撃たれる危険が減ります。
今後、藤井二冠は永瀬王座との対戦時に、対振り飛車の事前研究にも時間を割かなければいけなくなりました。

藤井二冠の高度な駆け引き(作戦)は実らなかった


さて、本局の藤井二冠、持久戦と急戦の両方を天秤にかけながら進める高度な作戦を採用しました。

まず、▲5七銀と上がって持久戦志向。
藤井二冠の作戦は、居飛車穴熊が濃厚か?
……と思いきや、▲3六歩と突いて急戦志向にチェンジ……からの▲7七角と上がって再度持久戦(穴熊)を匂わせ……たところで、▲4六銀と出て急戦へGO。

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結局は右銀急戦に


このあたり、作戦表明が持久戦と急戦を行ったり来たりするのは、決して藤井二冠が優柔不断だからではなく(笑)、プロレベルの高度な駆け引きです。

が、結果的にはうまくいったとは言い難い展開に。
途中の▲7七角が、一手パスに近い形になって、あまり活きなかったですかね。

居飛車側は左美濃(天守閣美濃)にする構想はなかったか?


こういう将棋を参考にしたいのはやまやまですが、我々アマチュアでは、この手のプロレベルの駆け引きについていくのは難しい(泣)
もう少し簡単な方針で、居飛車側が指せないでしょうか?

藤井二冠が▲7七角と上がった場面ですが……

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居飛車穴熊の含みも残した一手だが


わかりやすさを求めるアマチュアの私なら、この▲7七角に代え、▲8六歩と突いて左美濃(天守閣美濃)を目指します。
 

「対左美濃・藤井システム」によって左美濃は絶滅したが……


四間飛車に対して左美濃を採用する将棋は、近年ではほとんど見ません。
というのも、四間飛車には、対左美濃用の「藤井システム」という超強力な作戦があるからです。

「えっ、藤井システムって、対居飛車穴熊用の作戦じゃないの?」

いえいえ、実は「藤井システム」と名が付く戦法には、対居飛車穴熊用と対左美濃用の二つがあります。
「対左美濃用・藤井システム」は非常に優秀で、左美濃はプロ間で絶滅してしまいました。

左美濃が絶滅したので、「対左美濃用・藤井システム」も登場の機会がなくなります。
「対居飛車穴熊用・藤井システム」だけが残ったわけです。
残った方も、いつしか「対居飛車穴熊用」の冠は省かれて、単に「藤井システム」と呼ばれるようになった……という経緯です。

これは昔話なので、若い人や将棋歴が浅い人は知らないかもしれませんね。

あ、ここで出てくる藤井とは、もちろん藤井聡太二冠ではなくて、振り飛車御三家の一人・藤井猛九段のことです。
藤井九段ほか振り飛車党棋士の徹底した研究により、左美濃は絶滅しました。

「対左美濃・藤井システム」が飛んでこないなら左美濃もアリ


話が逸れました。
↓の局面、私ならば▲8六歩から左美濃(天守閣美濃)の作戦でいく、という話でしたね。

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なぜここから左美濃を目指すのか?


「えっ、でも左美濃に組んだら、対左美濃・藤井システムを喰らって潰されるんじゃないの?」

そう思うのも無理ないですが、「対左美濃・藤井システム」を指すときは、ポイントが二つあります。

ポイント1 四間飛車は7一玉型にする

四間飛車側は、いずれ左美濃(天守閣美濃)の玉頭を攻めます。
その際、振り飛車の玉が8二にいると、玉頭攻めの反動がきつい。
7一玉型の方が、玉頭攻めから遠くて安全なのです。

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こういう展開のとき、玉は8二よりも7一の方が安全


ポイント2 △5四歩を突かない

四間飛車の左銀は、4三~5四のコースで動かします。
△5四銀と出る手を残すため、△5四歩とは突きません。

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△6三銀引や、後で角頭攻めされたときに△4四飛と浮く手を見ている


玉は7一に置き、△5四歩は突かない。
以上のポイント二点を踏まえて、藤井 vs 永瀬戦の局面を見てください。

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振り飛車側の陣形に注目


この局面、四間飛車側は、「玉は7一に置き、△5四歩は突かない」というポイントを満たせません。
つまり、四間飛車側が「対左美濃・藤井システム」にすることはできないわけ。

脅威の藤井システムが飛んでこないのであれば、居飛車穴熊や急戦ではなく、左美濃の作戦もアリ。
こういう理屈で、私なら左美濃を採用しますかね。
まあ、こんな考えを思いつくのも、私が古い人間だからです(笑)