振り飛車一筋・KYSの将棋ブログ

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2020年度の将棋界を「振り飛車目線」で振り返る

2020年度は、新型コロナ騒動で最悪な1年でした。しかし、そんな大変な状況でも、関係者の尽力によって各棋戦は中止になることなく続けられました。その中で、さまざまな出来事がありましたね。

  • 藤井聡太七段、史上最年少でタイトル挑戦
  • 藤井七段、渡辺棋聖を撃破してタイトル獲得最年少記録を更新
  • 藤井棋聖、木村王位からもタイトル奪取で二冠に
  • 藤井二冠、銀河・朝日の早指し棋戦もかっさらう

藤井ばっかやん…(笑)

このように、藤井ブームで沸いた1年でしたが、私は振り飛車党なので、「振り飛車の目線」から見たニュースを振り返ります。

ニュース1 タイトル戦に振り飛車党が久々に登場

2020年度、振り飛車トップニュースは、なんと言っても「久保利明九段のタイトル挑戦」でしょう。タイトル戦に振り飛車党の棋士が登場するのは久しぶりです。
(その前が、菅井竜也王位がタイトルを奪われた2018年夏の王位戦だっかと)

挑戦者決定戦では、大激戦の末、渡辺明名人を撃破。

永瀬王座との5番勝負では、中飛車だけでなく、四間飛車や新型囲い・振り飛車ミレニアムを駆使。2-2のタイまで持ち込みましたが、最終局では中飛車が不発に終わり、タイトル奪取なりませんでした。

結果は残念でしたが、振り飛車がトップでも通用する戦法であることを証明できた格好で、振り飛車党の私としては嬉しかったですね。

ニュース2 振り飛車アマゾネス・西山女流三冠の活躍

2020年度、西山朋佳女流三冠(奨励会三段)の活躍が注目されました。

棋聖戦では二次予選決勝まで進出。
竜王戦6組ではベスト8進出。

西山女流三冠、バリバリの振り飛車党です。私も振り飛車党ですが、使う戦法が西山女流三冠とわりかし似通っているので(棋力は100分の1くらいですが 笑)、彼女の将棋は参考になります。

久保振り飛車や菅井振り飛車に比べると、西山振り飛車は馴染みのある形なので、安心して観れますね。

なんとか頑張って四段に上がってほしいですが、三段リーグ経由は苦しい感じ。竜王戦6組で優勝すると次点1が貰え、以前の次点と合わせて四段に昇段できるので、そっちの方が可能性はあるかも。

ニュース3 トップの居飛車党も飛車を振るようになった

現在、トップクラスの棋士は居飛車党がほとんど。しかし、最近は居飛車党が振り飛車を用いるケースも増えてきました。

印象深かったのは、2020年10月の王将戦挑戦者決定リーグ・永瀬拓矢王座 vs 藤井聡太二冠戦。永瀬王座は四間飛車を採用して藤井二冠を撃破、挑戦に弾みをつけた一局です。

今後も、永瀬 vs 藤井というカードは多く発生するでしょうが、藤井二冠に「居飛車だけでなく振り飛車も使える永瀬」と印象を植え付けた効果は大きいでしょう。作戦の的を絞らせなければ、狙い撃たれる危険が減ります。

それから、バリバリの居飛車党だった佐藤天彦九段が飛車を振るようになったのも驚きです。最も振り飛車が似合わない棋士の一人だと思っていただけに、初めは何かの間違いかと思いました(笑)

居飛車の感覚が、振り飛車に新たな風を吹き込んでくれることを期待したいです。

ニュース4 勝又七段の「居飛車 vs 振り飛車講座」が連載開始

この1年、私が嬉しかったのは、『将棋世界』誌上で、勝又清和七段の連載講座が始まったことです。

勝又七段、プロ将棋の歴史の変遷をまとめるのがうまく、それをアマチュアにわかりやすく伝える技術も卓越しています。私、昔からのファンなのです。

しかも講座のテーマが、居飛車 vs 振り飛車の歴史を振り返る。これはもう「買い」の一択ですね。

今後の展望 振り飛車で藤井二冠を撃破できるか?

さて、あとは来年度以降の展望について。

個人的には、「藤井二冠に立ち向かえる振り飛車党はいるのか?」という点が注目ポイント。

学業に時間を取られることがなくなった藤井二冠、来年度以降はますます猛威を振るうことが予想されます。個人的には、菅井竜也八段あたりに期待したいのですが、現状でもすでに分の悪い感じがします。

生粋の振り飛車党よりも、永瀬王座や佐藤天彦九段のように、「基本は居飛車だけど、変化球として振り飛車も用いるスタイル」の方が、藤井二冠に作戦の的を絞らせないぶん、望みがありそうな気がします。振り飛車ファンとしては悲しいですが……。

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