本日の記事は、「実戦次の一手」です。私の実戦(終盤)から、みなさんの参考になりそうな場面を紹介します。
「詰め将棋」か「必死」か不明な状態で解いてほしい
出題にあたって、一つだけお断りを。
この手のブログでは、出題時に「実戦詰め将棋」や「実戦必死」などと書かれることが多いです。しかし、私はあえて「次の一手」としか表記しません。
というのは、詰め将棋や必死と書くと、それだけでヒントになってしまうから。実戦においては、「相手玉は詰んでいます」「詰まないので必死を掛けてください」のようなヒントは存在しませんよね。
詰め将棋と言われれば、詰み手順のみを考える。必死と言われれば、詰ます手順は読まずに、必死の手順のみを考える。
そういうのは、実戦での読み方とは違います。実戦では、「この局面は詰む? 必死しかない? それとも受ける?」というように複雑な思考になるはずです。
というわけで、より実戦に近い雰囲気を味わってもらうために、あえて「次の一手」としか書かないことをご了承ください。
問題
さて、前置きはこれくらいにして問題をどうぞ。終盤戦、次の一手は?
有段者レベルの問題なので、「わからん」という人や、級位者の方はヒントをどうぞ。↓クリックするとヒントが開きます。
この場面、相手玉に即詰みがあります。
15手詰めです。
初手▲7一龍では、△9三玉から上部に脱出されて失敗。▲7一龍の前に一工夫ほしいところです。
以前、「振り飛車にトドメを刺す手筋 △9二玉には▲8四桂」という記事を投稿しました。この局面でも、それを使って詰まします。
3手目までネタバレします。
▲7一角△9二玉▲8四桂です。
さて、いかがでしょうか?
結論が出た方は、↓クリックして答えをご確認ください。
正解は▲7一角から詰ましにいく手。▲7一角には△9二玉(↓図)ですが……
次の一手が、この問題のポイントその1。それが▲8四桂と捨てる手です(↓図)。
↑図の▲8四桂は取る一手。
そこで▲8二角成!と捨てるのがポイントその2。
これも取る一手。
△8二同玉と取らせたところで、やっと▲7一龍と王手します。
なぜ桂馬と角を捨てたのか、おわかりでしょうか? 8四の地点がふさがっており、玉が上部に脱出できません。これが駒を捨てた効果です。
ここまでくれば簡単。
あとは▲7二龍や▲8二銀などと単純に王手をかけて追っていき、↓図でフィニッシュです。
解答は以上ですが、ひとつ補足を。
もう一度問題図を掲載します。
初手から▲7一角△9二玉▲7二金(↓図)と必死をかけるのではダメなん? と思った人。
↑図は確かに必死です。
ここで問題になるのが、自玉が詰まないかどうか? 必死をかけても、先に自玉が詰まされてしまったら負けですよね。
以前、「長い詰みより短い必死」は個人的に疑問を感じるという記事を投稿しましたが、この局面はまさにそう。さて、はたして自玉は詰まないのでしょうか? ちゃんと読み切ったうえで、答えを確認してください。
正解は「自玉は詰まない」。
つまり、この場面では相手玉を即詰みに討ち取らず、必死でも勝てるということです。
相手から詰ましにくるなら△8九龍(↓図)しかありません。
▲同玉△7八成桂▲同玉とかなり危なく見えますが(↓図)
△7七香成や△6六桂など王手は続くものの、詰みはないですね。必死をかけて勝つのであれば、ここまで読まないといけません。けっこう大変です。