振り飛車一筋・KYSの将棋ブログ

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実戦次の一手・終盤編No.12 【題材提供・y-ginoginoさん】

本日の記事は、「実戦次の一手・終盤編」です。元ネタは、将棋指しのはてなブロガー・y-ginoginoさんの実戦から拝借しました。使用許可をいただき、ありがとうございます(^^)

「詰め将棋」か「必死」か不明な状態で解いてほしい

出題にあたって、一つだけお断りを。

この手のブログでは、出題時に「実戦詰め将棋」や「実戦必死」などと書かれることが多いです。しかし、私はあえて「次の一手」としか表記しません。

というのは、詰め将棋や必死と書くと、それだけでヒントになってしまうから。実戦においては、「相手玉は詰んでいます」「詰まないので必死を掛けてください」のようなヒントは存在しませんよね。

詰め将棋と言われれば、詰み手順のみを考える。必死と言われれば、詰ます手順は読まずに、必死の手順のみを考える。

そういうのは、実戦での読み方とは違います。実戦では、「この局面は詰む? 必死しかない? それとも受ける?」というように複雑な思考になるはずです。

というわけで、より実戦に近い雰囲気を味わってもらうために、あえて「次の一手」としか書かないことをご了承ください。

問題

今回の問題は↓こちら。

パッと見、簡単に詰みそうです。が、1五角と1六馬の存在を見落とさないように。▲3四桂や▲3二成桂~▲4二龍といった筋が防がれています。さあ、どう寄せ切る? わからない人や級位者の方はヒントをどうぞ。↓クリックするとヒントが開きます。

この場面、実は即詰みがあります。詰ましに行くなら、▲3二成桂△同玉ですね。ただし、そこから▲4三銀や▲4三金、▲3一金では際どく詰みません。

即詰みがわからなければ、次善策として必死をかけるしかないですね。あとは、自玉の安全度だけ確認して。

さて、いかがでしょうか?
結論が出た方は、↓クリックして答えをご確認ください。

最速の勝ち方は▲3二成桂△同玉から即詰みに討ち取る手です(↓図)。

ここで次の一手が問題になります。▲4三銀や▲4三金、▲3一金あたりが候補でしょう。が、それらは際どく詰みません。たとえば▲4三銀は、△3三玉▲4四金△2二玉という具合。

正解は▲4二成桂です(↓図)。

軽く成桂を捨てるのが好手

△2二玉と逃げるのは▲3二金で簡単。よって応手は ①△3三玉 ②△4二同角のいずれかです。

△3三玉から解説します。これには▲4三龍△2四玉と追って……(↓図)

こう逃げられると詰まないように見えますが、さにあらず。ここで▲2五金! という捨て駒があるのです(↓図)。

①△同玉なら▲3四龍 ②△同馬なら▲3三銀

というわけで、初手から▲3二成桂△同玉▲4二成桂に①△3三玉は詰み。あとは②△4二同角ですが……(↓図)

これには▲4三銀と打てばOKです(↓図)。

以下、△3三玉▲4二銀不成という筋で、比較的容易に詰みます(↓図)。

↑図から△2四玉に、▲3三角△2五玉▲3六金でトドメです(↓図)。

以上が最速の勝ち方ですが、これは読み切れないという人も多いでしょう。というわけで次善策も解説。問題図を再掲しておきます。

詰ませられなければ必死をかけて勝ちを決めます。▲3二成桂△同玉に▲4三金と打つ(↓図)。

↑図から△2二玉▲3二金打△1一玉と金打ちで押し込んで、最後に▲3一成桂と寄れば必死です(↓図)。

数で押し込む地味な寄せだが、こういうのを逃さないのが大切

次に▲2一金と入る詰みが受からず、必死です。▲2一金を防ぐなら△2二飛ですが、普通に▲同金と取れば詰みです(↓図)。

△同玉・△同銀いずれも▲2一飛まで

必死の手順は他にもあります。問題図初手から▲1一銀と捨てる手です(↓図)。

もし「相手に桂馬を渡すと自玉が詰む」ような状況なら▲3二成桂△同玉はマズい。この▲1一銀が正解

↑図で△2一玉とかわすのは、▲3二成桂△同玉▲4三金△2一玉▲3一成桂という筋で詰みます。この銀捨ては△1一同玉と取るしかありません。そこで▲3二成桂と入れば、必死の完成です(↓図)。

△2二飛と受けても▲2一金以下詰む

必死をかけるなら、あとは自玉が詰まないかどうかの確認が必要です。はい、まったくの安泰。ですので、この場面では即詰みでも必死でも勝てるということです。

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