本日の記事は、「実戦次の一手・終盤編」です。元ネタは、将棋指しのはてなブロガー・y-ginoginoさんの実戦から拝借しました。使用許可をいただき、ありがとうございます(^^)
「詰め将棋」か「必死」か不明な状態で解いてほしい
出題にあたって、一つだけお断りを。
この手のブログでは、出題時に「実戦詰め将棋」や「実戦必死」などと書かれることが多いです。しかし、私はあえて「次の一手」としか表記しません。
というのは、詰め将棋や必死と書くと、それだけでヒントになってしまうから。実戦においては、「相手玉は詰んでいます」「詰まないので必死を掛けてください」のようなヒントは存在しませんよね。
詰め将棋と言われれば、詰み手順のみを考える。必死と言われれば、詰ます手順は読まずに、必死の手順のみを考える。
そういうのは、実戦での読み方とは違います。実戦では、「この局面は詰む? 必死しかない? それとも受ける?」というように複雑な思考になるはずです。
というわけで、より実戦に近い雰囲気を味わってもらうために、あえて「次の一手」としか書かないことをご了承ください。
問題
今回の問題は↓こちら。
パッと見、簡単に詰みそうです。が、1五角と1六馬の存在を見落とさないように。▲3四桂や▲3二成桂~▲4二龍といった筋が防がれています。さあ、どう寄せ切る? わからない人や級位者の方はヒントをどうぞ。↓クリックするとヒントが開きます。
この場面、実は即詰みがあります。詰ましに行くなら、▲3二成桂△同玉ですね。ただし、そこから▲4三銀や▲4三金、▲3一金では際どく詰みません。
即詰みがわからなければ、次善策として必死をかけるしかないですね。あとは、自玉の安全度だけ確認して。
さて、いかがでしょうか?
結論が出た方は、↓クリックして答えをご確認ください。
最速の勝ち方は▲3二成桂△同玉から即詰みに討ち取る手です(↓図)。
ここで次の一手が問題になります。▲4三銀や▲4三金、▲3一金あたりが候補でしょう。が、それらは際どく詰みません。たとえば▲4三銀は、△3三玉▲4四金△2二玉という具合。
正解は▲4二成桂です(↓図)。
△2二玉と逃げるのは▲3二金で簡単。よって応手は ①△3三玉 ②△4二同角のいずれかです。
△3三玉から解説します。これには▲4三龍△2四玉と追って……(↓図)
こう逃げられると詰まないように見えますが、さにあらず。ここで▲2五金! という捨て駒があるのです(↓図)。
というわけで、初手から▲3二成桂△同玉▲4二成桂に①△3三玉は詰み。あとは②△4二同角ですが……(↓図)
これには▲4三銀と打てばOKです(↓図)。
以下、△3三玉▲4二銀不成という筋で、比較的容易に詰みます(↓図)。
↑図から△2四玉に、▲3三角△2五玉▲3六金でトドメです(↓図)。
以上が最速の勝ち方ですが、これは読み切れないという人も多いでしょう。というわけで次善策も解説。問題図を再掲しておきます。
詰ませられなければ必死をかけて勝ちを決めます。▲3二成桂△同玉に▲4三金と打つ(↓図)。
↑図から△2二玉▲3二金打△1一玉と金打ちで押し込んで、最後に▲3一成桂と寄れば必死です(↓図)。
次に▲2一金と入る詰みが受からず、必死です。▲2一金を防ぐなら△2二飛ですが、普通に▲同金と取れば詰みです(↓図)。
必死の手順は他にもあります。問題図初手から▲1一銀と捨てる手です(↓図)。
↑図で△2一玉とかわすのは、▲3二成桂△同玉▲4三金△2一玉▲3一成桂という筋で詰みます。この銀捨ては△1一同玉と取るしかありません。そこで▲3二成桂と入れば、必死の完成です(↓図)。
必死をかけるなら、あとは自玉が詰まないかどうかの確認が必要です。はい、まったくの安泰。ですので、この場面では即詰みでも必死でも勝てるということです。