2022(令和4)年に開催された市民将棋大会の参加レポ続きです。前編と中編は↓こちら。
【決勝戦】相振り飛車
序盤 相手がやや変則的な出だし
そういえば、将棋大会で決勝なんて何年ぶりだろうか? 20代の頃、アマチュア名人戦で都道府県代表を懸けた一戦以来……だと思う。結婚して将棋熱が冷めたこともあり、だいぶ長い間将棋から離れていました。それが再びヤル気になり、規模はだいぶ小さいけど、また優勝を懸けた一戦に臨むことができるとは。
決勝の戦型は相振り飛車です。2回戦の相手同様、△3一角~△2二飛という手法で振ってきました(↓図)。
変則的な出だしに警戒して様子を見ていましたが、相手は普通に美濃囲いの模様です。それを確認してから、私は飛車先の歩交換をしました。
↑図、次に△7五歩とフタをされると飛車の退路が断たれるので、▲7六飛と引きます。△7五歩と頭を押さえられる手があるので、▲7六飛の浮き飛車ではなく▲7八飛と深く引く方が本筋に思うかもしれません。が、△7五歩を打つと、逆にこちらの攻撃目標になりかねないので、さすがにないと見ました。
中盤 相手のコビン攻め vs 私の銀の進出
少し進んで↓図。
あっ……(^^;
なるほど、このラインに角を転換。△3五歩~△3六歩のコビン攻めがありますね。私が美濃囲いにするのが早すぎました。相手が変則的な出だしだったので、とりあえず先に玉を囲っとけと進めたのですが、軽率だったようです。
うーむ、これはヤバいぞ。苦心の末に進めたのが↓図。
△3六歩には▲5五歩で角の利きを止めるつもり。この瞬間だけ見ると、苦し紛れの感はあります。が、次に▲7五銀~▲6四歩のような手が回ると、逆にこちらが有望です。つまり相手としては、ここで△3六歩と開戦するのが自然。さあ来るなら来いっ! と思っていると、相手が指したのは……(↓図)
△5三金。これは疑問手かと……。相手としては、私に▲5五歩と突かれて中央上部の薄さを攻められる手が気になったのかもしれません。が、ここから3手進んで相手は困りました。その順とは?
▲9六歩~▲9七角。狙いがわかりますか? ▲7三飛成~▲5三角成~▲3一角の王手飛車です。まあ厳密には、▲9五角の余地も残す▲7七角~▲8六角が正解だったと後で思いましたが……。
とにかく、王手飛車の筋を受けるために相手は△5二金上と守りましたが、そこで▲7五銀とド急所の位置に進出成功。一気に形勢の針がこちらに振れました。
↑図。△3六歩には▲6四歩と突き返す手が、コビン攻めを受けつつ相手の玉頭を直撃する攻防の一手。味付けをしておいてから、▲7七桂~▲6五歩の継ぎ歩攻めで好調です(↓図)。
終盤 相手の攻めを凌いでゴールへ
こちらの攻めが急所に突き刺さりましたが、相手も必死に反撃してきます。↓図は、△2六歩~△2五歩と継ぎ歩をしてきたところ。
私の勝勢は動きませんが、それなりに嫌らしい手です。いろいろな対応策が考えられますが、▲2五同歩△2六歩▲6五桂△2五飛▲3五金と進めました(↓図)。
△2一飛と逃げれば、▲2二歩から連打して最後▲2四歩で受け止めよう、という意図。その形は、相手の攻めが復活するまで時間がかかる(△3四歩~△3五歩~△2四飛で金・歩を除去しないといけない)ので、私が攻め勝つでしょう。
相手は、飛車を見捨てて勝負に来ました(↓図)。
しかし、これが私にとって一番ありがたい展開。▲2五金と飛車をゲットして▲2一飛と打ちおろす手が、非常に速いからです。その通り進んで↓図。
↑図では、▲2五飛成と桂馬を取ってしまえば「安全勝ち」でしょう。が、相手玉を仕留める決め手があったので踏み込みました。三手一組の手順です。有段者の方は、考えてみてください。
▲6三歩成△同金▲7三飛成(↑図)。これでゴールです。9七角と2一飛のコンビネーションで、▲4一飛成△同玉▲4二金の詰みを見ています。以下、逃げ回る相手玉を即詰みに討ち取ってフィニッシュ。
戦いを終えて……
というわけで、優勝という結果を収めることができました。初戦が一番苦しかったですが、あとは危ないところが全然ないまま最後までスルスル行った感じで……。
表彰式が行われ、トロフィーと賞状を持ってパシャッ。市民大会ですので、この写真は市の広報に載るそうです。妻もご近所さんに自慢できるでしょう(笑)
前編で書きましたが、今回の大会は時短仕様のため、13時には解散。妻と娘はお出掛けしているので、近所のトンカツ屋で上ロースカツ定食を食べてから帰ってきました。なぜ終わった後にカツを食う? 昨日食っとけよ。
──こうして、今回の市民将棋大会は幕を閉じました。自分の得意形で戦えたとは言いがたいですが(居飛車対振り飛車の対抗形は一局もなかったし)、それでも一定の結果を出せたことはよかったと思います。夢である将棋教室開講に必要な「実績」も手に入りましたし。
ただ、相手の自爆に助けられた場面も多く、私が強い将棋で勝ったわけではありません。正直、全盛期に比べると半分くらいの力量しか戻っていないと感じます。まだまだ精進が必要ですね。勝って兜の緒を締めよ。北条氏綱が残した言葉は偉大だ。
長文になりましたが、参加レポは以上です。ここまで読んでいただき、ありがとうございました(^^)