振り飛車一筋・KYSの将棋ブログ

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「枯れ木も山の賑わい」で挑む将棋大会【後編】 決勝の舞台は中飛車リベンジ

今回の記事は、2023(令和5)年に開催された市民将棋大会の参加レポ後編です。前編・中編は↓こちら。

【前編】

前回までのあらすじ仕事等が忙しくて無勉強のまま大会参加という、無謀な突撃をかました振り飛車党KYS。ところが、なんやかんやで決勝進出。ようやくエンジンがかかって頭も温まってきたので、これは期待できるかも?

【決勝】以前に負かされた相手 角不換型の中飛車で挑む

さあ、いよいよ決勝です。反対側の山から上がってきたのは、3年前──2020年の大会の初戦で私を打ち負かした人。最高の舞台でリベンジのチャンスが巡ってきました。

居飛車党なのはわかっているので安心。戦型は、角交換しない5筋突き合いの中飛車。相手は△2四歩で天守閣美濃を志向してきました(↓図)。

5筋突き合いの中飛車持久戦。6六銀・3七桂形を作り、▲4五歩~▲5五歩と攻める形が私の好み。相手玉が角筋に入っている(2二玉型)と有効な攻めです。しかし、2三玉型ではイマイチ。というわけで、予定変更して5筋歩交換することにしました(↓図)。

このタイミングで5筋歩交換に出ます。居飛車陣が中途半端であり、ここは△5四歩と無難に進めるしかないだろうと踏んで歩交換を決行しました。しましたが……

反撃してくるんかい。5筋歩交換に対して△6四銀と反発し、△6五銀~△7六銀と角を攻めてくる手は確かにありますが。わりと穏便な指し方を好む人という印象だったので、ちょっと意外でした。

↑図、△7六銀と出られたところで、強く▲8六角と指します。次に▲5三角成△同金▲同飛成と進むと、2三の傷が大きい。これは中途半端なまま戦いに突入したのが祟った形です。相手は△5四歩と収めてきました。私は▲7七桂と跳ねます(↓図)。

どうやら、まだ事の重大さに気付いていない模様のお相手。次の俺のターン! ▲5六飛と浮いて銀を捕獲。

これで銀の行き場がない

△7七銀成で刺し違えるしかないですが、こちらの角を圧迫するために出てきた銀が捕まり、振り飛車の左桂と交換になるようでは明らかに居飛車失敗。一本取った形です。

もっとも、これで私が優勢とまでは言い難い。というのも、7八金と6八銀の働きが不十分だからです。この二枚は「ここに位置しているだけ」で立派に働く場面もありますが、本局の展開ではそうならない感じ。

まあ、とりあえず飛車の捌きを先につけましょう。▲5五歩の合わせ歩(↓図)。

  1. △同歩なら、▲同飛△7二飛▲5四銀なので、この合わせ歩は取れないだろうと。
  2. △5二飛と回って耐えようとしても、▲6六飛で居飛車困りんぷー。▲9五角と飛び出す手もあり、振り飛車の手を受け切るのは無理です。

というわけで、相手は△6四桂▲5九飛△7六歩▲8八角△4二銀! と我慢してきました(↓図)。

ところが、相手に我慢を強いてすっかりいい気になった私、ここで疑問手。手拍子で▲5四歩と取り込んでしまい、逆に△5六歩と遮断されてしまいました(↓図)。

▲5四歩の取り込みは保留し、▲6六歩と突いて次に▲6五歩を見せれば居飛車が困っていましたね。▲5四歩と取り込んでしまったため、▲6六歩と突いても△5四金で受けられてしまいます。

これで流れを少々おかしくしましたが、気を取り直して構想を練り直します。私は4~5筋から、相手は7筋から手を作り、攻め合いになっているのが↓図。

相手玉だけ終盤モード

ここは▲7三歩と一発叩くのが効果抜群。△同飛と取るしかないですが、相手飛車の守備力を無力化できるので、だいぶ攻めやすくなります。以下、▲4三銀△同金▲同歩成△同玉▲4四歩(↓図)。

最後の一歩。はたして攻め駒が足りるか?

△同角なら▲5四金があるので、これは△3二玉と逃げるしかありません。以下、▲4三金△2三玉に、ベタッと▲3二金打(↓図)。

重たい金打ちだが

この俗手が厳しいと見ました。次は▲2二金ではなく、▲2一金が本命の狙い。相手の3三の地点を弱体化させつつ、攻め駒を補充する手です。

いや、実際このベタ金打ちの良否はわかりませんが、少なくとも間違いは起きにくそうな手です。まだ私の玉は当分寄らないので、慌てて一気に決めに行く必要はありません。

先ほど▲7三歩と叩いて飛車を上ずらせた効果がテキメンです。そして、相手は持ち駒に金がないのが地味に痛い。銀を投入して受けてきますが、いろいろ駒を交換して最後の図(↓図)。

ここから▲5四角△2三玉▲4三歩成。ついに4四歩がと金に昇格。次は▲3二銀~▲3三と、または▲3三と△同銀▲3二銀が厳しいですが、受けは難しい。処置なしと見た相手が観念して投了しました。

投了図

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戦いを終えて……

というわけで、前回の大会に続いて今回も優勝。2連覇を達成してしまいました。

前編で書きましたが、仕事が昨年とは比べ物にならないほど忙しく、マジで無勉強で挑んだので……。人数合わせの脇役、「枯れ木も山の賑わい」で参加したはずなのに、この結果には自分が一番驚いています。

20代の頃の遺産が、まだそれなりに残ってるっぽいのが救い。

結果をLINEで妻に報告したところ、心底驚いていました。妻は、私が全然勉強せずに出陣したのは知っていたので、普通に1回戦で負けると思ってたようです(笑) 表彰式が行われ、トロフィーと賞状を受け取ります。そして写真撮影。結果と写真は市の広報に載るので、妻もご近所さんに自慢できるでしょう。

13時頃に解放され、近くの中華料理屋でラーメンと炒飯のセットで腹を満たします。家に帰ると、妻と娘はお出掛け中。今日の4局の棋譜をパソコンに取り込みました。

夕方、二人が帰宅。お祝いのケーキを買ってきてくれました。娘「ケーキかってきたよ~。いまたべていい?」。俺の優勝をダシにして、自分がケーキを食べたいだけではないのか(笑)

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