振り飛車一筋・KYSの将棋ブログ

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「枯れ木も山の賑わい」で挑む将棋大会【中編】 ようやくエンジンかかってきたッピ

今回の記事は、2023(令和5)年に開催された市民将棋大会の参加レポです。前編は↓こちら。

【前編】

前回のあらすじ仕事等が忙しくて無勉強のまま参加という、無謀な突撃をかます振り飛車党KYS。迎えたトーナメント1回戦、角が機能停止するマズい展開に陥るも、相手のミスに助けられて勝利。戦いは続く……。

【2回戦】序盤で大優勢になって押し切り

とりあえず一つ勝てて、緊張もほぐれた2回戦。珍妙な出足となりました。

実際は私が後手だったが、便宜上先後逆で表示

うーむ、相手の構想がよくわからん。そのため、ヘタに玉側の端歩も受けたりせず、さっさと穴熊に潜りました。その後、▲7五歩~▲7四歩と飛車先を切ります。

↑図、▲5五角と出れる状態なら▲同飛成と切ってもいいですが、ここでは無理。▲7六飛とバック。私の浮き飛車めがけて、相手は△3一角~△7二飛と圧迫してきます。私も左銀を応援に繰り出します(↓図)。

相手はまだ居玉。しかも△4二玉と移動すると、角の利きが止まってしまう

↑図から、相手は△7五歩と打って私の飛車を退却させ、さらに△6四歩~△6五歩で銀も追い返します。私の駒を押さえ込もうというわけですが……

私の飛車や銀は追い返されてしまったが……

これは一目無理。確かに6~7筋は押さえられましたが、私の角は中央に利いています。銀も5六や4六に出られる。▲5八飛と転回する手もある。私の動きを封じ切るのは無理でしょう。

実際、相手銀が突撃してきたところで▲5八飛と逃げる手が出ました。↑図から△8八成銀とすると、▲同飛と取り返した手が▲8三飛成の逆先になります。かといって、取らないと▲5五角と逃げられる。

これはすでに後手困っています。こうなると居玉も祟る。ここからは、まったく難しいところなく押し切りました。

結局こんな感じで進んだ

【準決勝】角交換振り飛車の出だしから

ようやくエンジンがかかってきました。準決勝です。相手は、前回大会の決勝で対戦した御方。戦型は、角交換系の振り飛車に。いま、△1四歩と突かれたところですが……(↓図)

この端歩をうけるかどうか?

この形は、5筋の歩交換ができそうです。仮にここで▲1六歩と受けると、5筋の歩交換が遅れます。また、仮に△2四銀から端棒銀風味で来られた場合、焦点がそちら方面になってしまい、私の5~7筋の駒がすべてボケます。それは避けたい。

というわけで、中央方面を優先するために端は手抜きました。△1五歩と端を詰められた形の美濃囲いを選択。振り飛車党には気持ち悪い形かもしれませんが、菅井竜也八段が藤井聡太五冠とのA級順位戦で「端歩詰められ美濃囲い」を採用して勝っていますし。

さて、中盤で相手にウッカリがあったと思われるのが↓図。

▲7一角から馬が作れますね。馬を作らせる代償があるとは思えないので、たぶんウッカリでしょう。さらに↓図は、私が▲5四銀とぶつけたところ。

言うまでもなく、△同銀は▲同馬が純粋王手飛車で終了。△6二歩と我慢するのが最善でしょうが、その場合も▲5三歩と打って後で▲6五桂という順があるので優勢だと思います。実戦では、相手が苦慮の末△4五角と打ってきましたが、▲同銀でよし。

相手は、こちらの弱点の桂頭を攻めてきます(↓図)。

筋は▲5三歩や▲7三歩。とりあえず▲7三歩と飛車頭を叩きました。△同飛だけはないと踏んでいましたが、まさかの△同飛。喜んで▲6五桂と跳ねます。△7五飛と当て返してきましたが……(↓図)

▲5三歩が痛打。△6二金とかわすと▲8四角(飛車金両取り)があるので、これは逃げられない。よって△同金直▲同桂成△4五飛▲6三成桂くらいしかないですが、これは駒得が大きく、左桂も最高の捌け方をしていて勝勢でしょう。

結局、相手は金を見捨てて△7七歩成で勝負にきましたが、▲5二歩成でボロっと金をいただき。ごっつあんです。さあ、駒得が大きくなったので一旦受けに回りましょう(↓図)。

▲6六角と打って、飛車・と金両取り

↑図から△6五飛で桂馬取られるやん、と思うでしょうが……

▲5四馬。きれいに王手飛車がかかりました。これで大駒4枚すべてゲット。△7八とで金を取られても、▲7一飛(↓図)。

次に▲3一金の寄せを見せているので、△4一歩と受けるくらいしかありません。そこで▲7八飛成でと金を除去。間違っても、相手に△6八金などの喰いつきを許してはいけません(許しても勝てるけど……)。

一発勝負のトーナメント的には、ここは希望を打ち砕く根こそぎが正解でしょう。「龍は自陣に引け」って永瀬拓矢王座も言ってたし。

この局面で私が最もやってはいけないのは、下手に攻めて相手に駒を渡し、それで反撃されること。将棋は相手の玉を討ち取るのが最終目標のゲームですが、勝つ方法は「攻める」だけではなく、相手の戦力を除去する「守り」もあります。

方針としては、8一桂と9一香を回収して6六角を▲9三角成で馬にしたあと、自陣まで引っ張ってくる。それまでは相手玉を一切攻めない。それぐらいの気持ちで指すことが必要です。えげつないと思うでしょうが、こーいうのが「間違いのない勝ち方」というものです。

いや、まあ普通に攻めても勝てる局面ではありますが……。

さて投了図。

相手は最後の望みとばかりに1筋から攻めてきましたが、逆に1筋から反撃して仕留めました。優勢になった場合、守りを固めて待っていれば、相手が暴発してくれることが多々あります。下手にこちらから攻めるよりも、相手の暴発に乗っかって反撃した方が数倍楽に勝てます。

中編はここまでです。

[続きの記事はこちら]【後編】決勝の舞台は中飛車リベンジ

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