2020年9月某日、まさかの対戦カードが実現。
将棋初心者の妻 vs 有段者の私
なぜ、こんなことになったのか?
その背景には、「ハ○ーキティ」や「ぐで○ま」などの国民的キャラクターを手掛ける株式会社サン○オの陰謀が存在した。
妻、フワッフワ系の入門書にまさかの興味を示す
──ある日のこと。
妻は懸賞が大好きなのだが、私が『将棋世界』を読んでいるのを見て、「それって懸賞とか載ってないの?」と言い出した。私が「あるよ」と答えると、「マジ? ちょっと見せて」と色めき立って、当該のページ(懸賞詰め将棋・次の一手)を読み始める。
しばらく眺めてから、「これってクオカードとか何かの詰め合わせとか、そういうのが当たるんじゃないんだね」。まあ将棋雑誌だからねえ、そういうのは当たらないと思うよ(笑)
「ふーん」と言いながら、そのまま将棋世界をパラパラめくっていた妻が突然、「へえー何これ?」と声を上げた。妻が見つけたのは、将棋入門書の広告。
し、しなもろーる?
うわっ、なんかめっちゃフワフワしてる(^^;) こんな甘そうなキャラクターは、将棋とマッチしないんじゃねぇの? 無理矢理くっつけた感がすごい。
……と私が思っていると、
「これ、ちょっと読んでみたいかも」
マジで? これを?
……うーん、でもせっかく将棋本に興味を示しているのに、無下に却下するのはもったいない。というわけで、妻の気が変わらないうちにと思い、次の仕事帰りに本屋に立ち寄って買ってきてしまった。
「つまんない」と途中で投げ出すのではと思っていたが、最後までキチンと読み終えた模様。さらに、「一手詰めの問題って他にもないの?」と言い出した(!)ので、一手詰めコーナーが載っている将棋世界を3冊ほど渡した。
「一局指そっか」妻からの挑戦
次の日、私と娘が将棋の駒でドミノ倒しをしていると、一手詰めをすべて解き終えた妻が「一局指そっか」と言い出した。マジで?
せめて歩を一枚でも恵んでくださぁい……
当たり前だが、すでに一手詰めまでマスターした妻に対し、この状況で私が勝つことはできない。まあ、勝負というより指導の意味合いが強いので、いかに上手に負けるかが腕の見せ所である。
ただ自陣でウロウロしていて詰まされるのは、スマートとは言い難い。積極的に相手陣に突撃して歩をかっさらい、あわよくば、その歩でと金を製造する。私の取れる策は、そんなものしかない。
初手から▲5八玉~▲4七玉と突撃を開始。対して妻、△3四歩と角道を開け、△8八角成と馬を作ってきた。角道を開けるという序盤のセオリー、正しく成駒を作る手、シナモロールの本でちゃんと覚えたようである。
そして迎えたのが↓の図。
私が玉で3四歩を取りに行ったところ。3四歩を守るなら△4四馬や△3二飛が考えられるが……妻、△3三桂で王手をかけてきた! 桂馬の動きや利きは、初心者には難しいものだが、これもちゃんと理解できている模様。
3四歩を取られるので△3三桂とは指しにくいはずだが、これは良い手である。正直、センスの良さに驚いた。ここまで来て後には引けないので、▲3四玉と突撃。
次に▲3五玉と離脱できれば成功だが、初心者ながら妻はそれを許さなかった。△4四馬と戻ってきて、私の玉を包囲にかかる。初心者は、特に角(馬)を大きく動かすときに一路ズレたりするものだが、ちゃんと4四に戻ってきた。
これに対しては▲2三玉と入るしかないが……
ここで妻が悩んでいたので、「さんざんやった一手詰めだよ」とアドバイス。しばらくして、「あっなるほど」と閃いた妻が△2二飛と指し、私の玉は討ち取られた。
──対局してみた感想をお聞かせください。
「将棋ってホント頭使うね。マジ疲れたよー」
──いやいや、3~4分で終わりましたが……
「私には無理。もういいわ」
は?
どうやら、妻と私の対戦は、これが最初で最後になりそうです(笑)
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