まずは何も言わず、↓の「詰め将棋」を解いてみてください。
はい、いろいろ言いたいことはあるかもしれませんが、とりあえず話を進めさせてください。
プロ棋士から貰った詰め将棋がおかしい???
数年前、私が実家に帰省したときのこと。最近、新しい職場に勤め始めた母親が、「いいものがあるのよ」と言った。
母「アンタ将棋指すでしょ? ○○ってプロ棋士は知ってる?」
私「そりゃー知ってるよ」
母「その○○プロの奥さんがね、私と同じ職場で働いてるのよ」
へぇーそりゃ奇遇。
ていうか、○○プロってウチの地元出身だったのか……。大変失礼ながら知らなかった(^^;)
母「それでねぇ、『ウチの息子が将棋好きなんです』って言ったら、奥さんがサイン色紙を持ってきてくれたのよ。『息子さんにどうぞ』って」
おおープロのサイン色紙!
それは欲しい!
というわけで、母親から色紙を受け取りました。
まあ厳密にはサイン色紙ではなくて、色紙に詰め将棋が描かれているものでしたけどね。某プロが私のために作ってくださった詰め将棋。それが冒頭で掲載した↓こちらなのですが……
んっ?
なにこれ???
なぜ私が首をひねっているか、おわかりでしょうか? というのもこの詰め将棋、初手に▲3五角と打てば簡単に詰むからです。
▲3五角に対して玉が逃げる手はないので、2四に合い駒するしかないのですが、
- 持ち駒を2四に打つのは、▲1二金で詰み
- △2四歩と盤上の歩を移動させるのも、▲1二金で詰み
- 一番長引かせるのは△2四龍の移動合いだが、▲同角△同玉▲2五飛(↓図)以下詰み
ていうか、③の順は持ち駒が余るから「詰め将棋」じゃないぞ。うーむ、これはおかしい。
問題の作成ミス? 「飛車」と「龍」を間違えた?
もしかして、初手▲3五角に対して絶妙な受け方があり、私がそれを見落としているのか? しばらくウンウン唸りながら考えたが、どう見ても▲3五角で詰んでいる。
これはアレだろ
問題の作成ミスだろ(^^;)
そういう結論に至り、いろいろ考えた結果、「正しい問題図はこれでは?」というものを見つけました。それが↓こちら。
2一龍ではなくて、2一飛が正しいのではないかと。
龍が飛車に変わった(格下げされた)ことで、何が違ってくるのか? この形で初手に▲3五角と打つと、△2四桂の合い駒くらいで詰みません。
では正解手順は何なのか? みなさん、少し考えてみてください(級位者にはちょっと難しいかも)。答えが分かった方は↓クリックしてご確認を。
正解は▲2二飛成です。
△同玉と取るのが自然ですが、▲3一角と打ちます。
△同玉なら▲3二金の頭金で詰む。したがって△1二玉と逃げるのですが、そこで▲2一馬と捨てる。
以下、△同玉に▲2二金の頭金までですね。大駒2枚を捨てての豪快な詰め手順(7手詰め)でした。ちなみに初手▲2二飛成に対して△2四玉と上に逃げる手は、▲1三角という手があって詰みます。
△1三同龍なら▲2五金。
△1五玉と逃げても▲1六金までです。
このように、「2一の駒は龍ではなく飛車が正当」というのが私の推測。それなら納得できます。
詰め将棋の一部を“改変”して何度も楽しむ
ただし、他の推測も成り立ちます。たとえば、「玉を描き忘れた」という可能性。具体的には、2一の駒を龍にして、2七の地点に攻め方の玉を置いてみます。
この図で▲3五角と打つと、△2四香と逆王手されて詰みません。したがって、▲2二龍△同玉▲3一角……と先述の順で詰ますしかないですね。
……といろいろ考えているうちに、「これはなかなか面白い勉強法では」と思いつきました。つまり、詰め将棋の一部を“改変”して、その図が詰むかどうかを考える。
「もしこの龍が飛車だったら詰むか?」
「持ち駒の金が銀だったら?」
「この地点に攻め方の玉を置くと、逆王手の筋が発生する」
こうやれば、一つの詰め将棋を何度も楽しむことができます。みなさんも試してみてください。