おばあちゃんが言っていた…
どんなに小さな大会でも、優勝するのは大変なことなのだ
野球の甲子園、サッカーの天皇杯、日曜のひとときNHK杯……。大会というものは、その多くがトーナメント戦です。つまり、優勝するためには一度の負けも許されない。
負けが許されないとは、どういうことか?
パフォーマンスを落とすことが許されない。一回戦から決勝まで、高パフォーマンスを出力し続けなければならない。
これは想像以上に大変なことです。なぜなら、人間には「波」というものが存在するからです。
自分の仕事を思い返してください。朝一番はヤル気に満ち溢れていても、午後になるとダレてくることが多いと思います。あれも「波」でしょう。一日という短いスパンではなく、一ヶ月、一年、一生というスパンで考えても、やはり「波」は存在します。「人生いいときもあれば悪いときもある」みたいに。
「波」が下降気味のときに高パフォーマンスを出すのが大変なことは、みなさんも経験として理解できるでしょう。しかし、トーナメント戦で勝ち抜くには、それをやらなければいけない。パフォーマンス出力が低下すると、その瞬間にバッサリ斬られて敗退になるからです。
“瞬間最大風速”では目の前の一戦を勝つことはできても、最後まで勝ち抜くことはできません。山王工業には勝ったけど、続く愛和学院戦ではボロ負けした湘北を思い出しますね。
だから、トーナメントで一回戦から決勝まで勝ち抜く、すなわち優勝することは、本当に難しいと思います。どんなに小規模な大会でも。
私も長年将棋を指していますから、トーナメント戦には数えきれないほど参加しています。学生時代の大会に始まり、アマ名人戦・竜王戦のような公式戦、アマ連の大会、市民将棋大会、道場で開かれるようなローカル大会まで。しかし、優勝した経験は指で数えられるくらいしかありません。