振り飛車一筋・KYSの将棋ブログ

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右四間に悩む四間飛車党は必読!『杉本流四間飛車の定跡』

冒頭からケンカを売るようなことを書いてアレですが……。

四間飛車党だったころ、私は右四間飛車に負けた記憶がほとんど……というか、まったくと言っていいほどありません。
いや、自分より格上の人間が右四間を指してきた、というシチュエーション自体がないだけでしょうけど……。

それはともかくとして、右四間撃破の原動力になってくれた棋書が、今回紹介する『杉本流四間飛車の定跡』です。
 

杉本流四間飛車の定跡 将棋必勝シリーズ

杉本流四間飛車の定跡 将棋必勝シリーズ

  • 作者:杉本 昌隆
  • 発売日: 2015/12/18
  • メディア: Kindle版
 


だいぶ昔の本(紙版は2003年出版)ですが、2020年現在でもじゅうぶん通用する内容です。
対右四間の指し方をかなり深く、かつ丁寧に解説しているので、「右四間うぜー」と思っている四間飛車党は必読。
本書の内容を押さえておけば、最近流行り(?)の「エルモ囲い+右四間」という組み合わせにも対応できるはず。

読者の対象は、級位者から有段者まで幅広くいけます。

ただし、ある程度四間飛車を指した経験があり、「四間飛車とは何ぞや」がそれなりにわかっている人向け。
つまり、四間飛車の基本を身に付けた人が、芸を広げるための“プラスアルファ”として読む本。
四間飛車の入門書ではないので、そこはご注意を。

第1章 対右四間を急戦から持久戦まで一通り網羅


さて、本書の内容を少し詳しく説明。
対右四間というと、↓図のように▲5六銀型に構える人が多いのではないでしょうか?

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相腰掛銀の5六銀型


本書でも、まず▲5六銀型を「基本」として取り上げ、対右四間の攻防を解説しています。
四間飛車側の裏ワザ、9八香+6九金待機型も紹介されています。

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△8五桂▲8六角△6五歩の仕掛けは、▲同歩△9九角成▲7九金!で四間飛車よし


ただし、▲5六銀と上がる形は「振り飛車大変かも」と解説を〆ています。
そこで登場するのが6七銀型。

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▲5六銀と上がらずに6七で待機


この形で右四間を迎え撃つのが本書のオススメ。
ここからの攻防は、本でご覧ください。
私もこちらの指し方が好みです。

また、右四間に天守閣左美濃 or 米長玉銀冠 or 居飛車穴熊を組み合わせてくる形もキチンと解説。
急戦から持久戦まで、対右四間の指し方を一通り網羅。
本書を読んでおけば、「右四間の破壊力になすすべなく一方的に敗れた」ということはなくなるでしょう。

ただし、繰り返しますが、それなりの四間飛車経験者が読む本。
四間飛車の初心者には、まったくオススメできないので注意。

第2章 △6五歩早仕掛けに玉頭銀で対抗


本書は「対右四間」だけでなく、「対△6五歩早仕掛け」も紹介されています。
それが第2章。

まず、ベーシックな↓の形を解説。

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2020年現在ではベーシックと言うより、もはやレトロな形?


しかし、これは四間飛車側がおもしろくないと結論。
そこで、対抗手段として「玉頭銀」を取り上げたのが本書です。

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▲5六銀と出て……

 

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▲4五銀で歩をパクりにいく


結論としては、居飛車に最善を尽くされると、互角程度にしかなりません。
ただ、局面ごとの考え方、手の作り方、急所の筋などが随所で解説されており、実戦への応用度は高いです。
ここで学んだことは他の戦型でも活かせるはずで、いってみれば「四間飛車のコツ」が学べる内容です。

この第2章も、玉頭銀戦法の入門として、級位者から有段者まで幅広く使えます。

著者の杉本昌隆八段は振り飛車の第一人者


本書の著者は杉本昌隆八段。
杉本八段というと、藤井聡太二冠の師匠というのが真っ先に思い浮かぶでしょう。
いや、逆に言うと、それ以外のことは知らない人も多いのでは……。

しかし杉本八段、若手時代(1990年代)から振り飛車の定跡整備に多大な貢献をしてきた棋士。
間違いなく振り飛車発展の歴史を担ってきた一人であり、振り飛車党の私にとっては尊敬するプロ棋士です。