本日の記事は、「実戦次の一手」です。私の実戦ではなく、プロの実戦を元ネタにして問題を作成しました。元ネタの一局は、2021(令和3)年5月9日に放送された、西山朋佳女流三冠 vs 八代弥七段のNHK杯です。
振り飛車が苦しい局面 逆転を狙うならどう指す?
今回の問題図は、石田流 対 居飛車銀冠の終盤戦です。
6七にいた銀を、と金で取られたところ。現局面は振り飛車が苦しいですが、ここから逆転を狙うなら何を指すか? というのが問題の趣旨です。
有段者レベルの問題なので、「わからん」という人や、級位者の方はヒントをどうぞ。
↓クリックするとヒントが開きます。
この局面、▲6七同金でと金を除去するのはダメです。それは△6三銀打(↓図)とされて龍・角両取り。
自陣に目を向けてもダメですので、攻めるしかありません。
攻めるなら▲3一金(↓図)が考えられます。が、結論から言えば▲3一金はダメです。
↑図から、△6三銀打とされて困ります。▲3二金△同銀と進んだ局面(↓図)は、龍・角両取りが残るので攻め切れません。
△6三銀打とされたときに▲3一角成を実現させる手を考えてください。
さて、いかがでしょうか?
結論が出た方は、↓クリックして答えをご確認ください。
正解は▲4一金です。
この一段金は、銀冠攻略の手筋です。二段目の龍(飛車)と連動して、次に▲3一角成を狙っています。
▲3一角成を阻止するにはどうするか? まず、△4二桂という手が考えられます(↓図)。
↑図以下、▲同金△6三銀打と龍・角両取りをかけます(↓図)。これが居飛車の狙いですが……。
↑図から▲3二金△同銀▲6三龍△同銀▲3一銀と攻め立てれば、これは振り飛車が勝負に持ち込めた形でしょう。
ということで、次の一手▲4一金に対して△4二桂の犠打は微妙なので、居飛車は△1三玉と早逃げするのが最善かと思います(↓図)。
こうされると、うまく攻めが続きません。
①▲3一金は△2二金とかわされる
②▲3二飛成△同銀▲3一角成は筋ですが、△2二飛の合い駒で無理筋
結論としては、▲4一金と打っても、正確に対応されると振り飛車が苦しい場面ということですね。