振り飛車一筋・KYSの将棋ブログ

自戦記や棋書紹介、将棋雑記など、いろいろなネタがあります。級位者から有段者までどうぞ

棋書(将棋本)の間違いを発見したときの話

みなさんは↓図の「詰め将棋」が解けますか? 3手詰めです。有段者なら瞬殺問題、級位者でも時間をかければ解けるでしょう。

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はい、正解は▲5三馬ですね。

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    1. 持ち駒を△4二合と打つのは▲2二金で詰み
    2. △4二飛と移動合いするのも▲2二金で詰み
    3. △4二金の移動合いは▲3二金で詰み

詰んでいるのに詰まさない?

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再掲図

↑図は、最近発売された棋書──寄せの手筋本でいわゆる「必死・詰めろ」ジャンルの本──で出てきた図面です。先ほど確認したように、ここから▲5三馬で詰み。ところが、本の解説では次の一手が▲5二歩。

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あれっ、なんだコレ?
えっ、なんだよコレ?
▲5三馬で詰みじゃないの?

自分が間違っているのかと思い、何度も確認しましたが、▲5二歩などとしなくても▲5三馬で詰んでいる。ようするに、「相手玉が詰んでいるのに詰まさない」という手を指しているわけです。

出版社に問い合わせてみたところ……

うーん、これはさすがに変だぞ。出版社のお問い合わせフォームから質問を送ってみました。実戦ならば、「詰んでいるのに詰みを逃す」なんてことはいくらでもありますが(笑)、寄せの手筋本でそれはマズかろうと。

出版社には、いろいろな問い合わせが入るだろうから、私のような一般読者への返答には時間がかかると勝手に想像していましたが、翌日に返信メールが。なんと素早い対応だ! ウチの会社も見習ってほしい(笑)

お買い上げありがとうございます。お問い合わせの件ですが、お客様のご指摘通り、▲5二歩ではなく▲5三馬で詰みでした。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。以後このようなことがないよう、編集部一同注意いたします。

こんな感じの返信でした。これは簡単な部類のミスだと思われるので、私を含め多くの人から指摘が入ったはずです(だから返信が早かったのだと)。当該棋書は初版だったので、おそらく第二版で修正されるでしょう。

「疑う姿勢」がなければ簡単なミスも発見できない

まだ私が20代だった頃、当時の上司から教わったことがあります。

「人間は誰でもミスをする。だから、『上司や先輩がやった仕事だから大丈夫』という考え方は絶対にするな」

「他人のやった仕事をチェックするときは、間違いがあるという前提でチェックしろ」

「それは相手の人間性を疑うとか、粗探しをするとか、そういう意味じゃない。ミスをしない人間なんていないからだ」

これはもちろん他人に限った話ではなく、自分も間違いを犯すということ。この教えは私の中で強烈に残っていて、おかげでミスを免れた・他人のミスをカバーしたことは何度もあります。まあ、そのせいで相手の言うことには否定・疑いから入るという、嫌な人間になってしまいましたが(笑)

「日本人は疑うのが下手」とはよく言われることです。特に、専門家やテレビに出演している人の言ったことは、「エラい人がこう言っているから正しい」と鵜呑みにしてしまう傾向があります。今回のコロナ騒動なんかを見ても、それはよく感じます。悪い言い方をすれば、日本人全体が洗脳されて「コロナ怖い病」になっているような……。

そのあたりはともかくとして……

今回の棋書の件も、ミスとしては簡単な部類でしたが、「本に書いてあることに間違いはない」と思っていたら発見できなかったでしょう。「間違ってるかも」の思考 = 疑う姿勢があったからこそ、見つけられたわけです。

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