今回の記事は終盤講座ですが、テーマは「端の位を取った美濃囲いを詰ます」です。
端の位を取った美濃囲い、逃げ道が広くて詰ますのはなかなか大変です。具体的には、2七~1六というルートで脱出されてしまってお手上げ、というパターンが多いです(↓図)。
↓図は私の実戦です。やはり端の位が大きい。1六に逃げ道がなければ△2八銀と打って簡単に詰みですが、端の位があるおかげで詰みを免れています。
といっても、端の位を取った美濃囲いを詰ますパターンがまったくないわけではありません。今回の記事では、それを紹介しましょう。
必殺の捨て駒で即詰みに討ち取る
↓の2枚の図をご覧ください。盤面は一緒ですが、居飛車側の持ち駒が違います。どちらかは詰みますが、もう一方は不詰み。有段者の方は考えてみてください。
これはなかなか難しいです。筋を知っていないと、相当手こずるかもしれません。正解を申し上げますと、詰むのは右側の図──持ち駒「飛角銀」の方です。
まずは当然、△3九角と打ちます。▲2七玉と逃げます(↓図)。
↑図で△2八飛と打っても、△1六玉と逃げられるので詰まないように思えますが、さにあらず。振り飛車玉を詰ます必殺の一手、それは△1八銀です(↓図)。
この△1八銀は知らないと指せない一手でしょう。振り飛車の応手は3択ですが……
- ▲1八同香
- ▲1八同玉
- ▲1六玉
① ▲1八同香の場合
自然なのは▲1八同香と取る手ですが、そこで△2八飛と打ちます(↓図)。
詰み形が見えたのではないでしょうか。▲1六玉なら△1八飛成、▲1七玉なら△3八飛成(空き王手)▲1六玉△1八龍。いずれも△1八銀捨ての効果で、△1八龍の形が生じて詰みに持っていくことができます。あとは▲2五玉に△3三桂でも△2四香でもお好きな方で。
② ▲1八同玉の場合
△1八銀を香車で取るのはダメ。ならば▲1八同玉と取るのはどうだ。しかし、それには当然△2八飛です(↓図)。
↑図以下は、▲1七玉△3八飛成▲1六玉△2七銀▲2五玉△3三桂まで、一直線の詰みになります(↓図)。
③ ▲1六玉の場合
というわけで、必殺の△1八銀は玉でも香車でも取ることはできません。あとは▲1六玉と逃げるしかありませんが、△1七飛▲2五玉△3三桂と普通に追いかけて詰みです(↓図)。
居飛車でも発生しうる端歩位取り美濃
必殺の△1八銀捨て、いかがでしょうか。もう一度問題図を載せておきますで、改めて詰み筋を確認してください。
ところで、近年の居飛車 対 振り飛車の対抗形では、振り飛車が端の位を取るケースは少なくなりました。居飛車側の有力作戦が穴熊だけではなく、急戦や銀冠、ミレニアムなど、バリエーション豊かになったからです。
居飛車穴熊以外の作戦では、基本的に端の位を保ちますから、振り飛車側は端の位を取れません。もっと言うと、居飛車穴熊を選択した場合でも、端の位は保つケースが増えています。
むしろ、居飛車側が端の位を取ることの方が多いかもしれません。たとえば、振り飛車穴熊を相手にするような場合です。
というわけで、「端の位を取った美濃囲い」は、どちらかと言うと居飛車の左美濃で出現することの方が多いでしょう。今回紹介した筋は、左美濃に対しても使えます。図を載せておきますので、詰ましてみてください。