今回の記事では、「相振り穴熊への端攻め」を取り上げます。相振りを指す人は必見です。
相振りでの穴熊は私もよく用いる戦法ですが、穴熊に組むと、相手は100%と言ってよいほど端攻めを志向してきます。具体的には、↓図のような攻撃陣形を目指してくるわけですね。
↑図は次に端攻めを開始できる陣形ですが、みなさんは次の一手に迷ったこと、ありませんか? 具体的には、「いきなり▲9三桂成」とすべきか、それとも「▲9四歩△同歩▲9三歩」とすべきか?
この疑問(悩み?)が、今回の記事のテーマです。
基本的には「いきなり▲9三桂成」の方がよい
将棋というものはケースバイケースです。ですから、「いきなり▲9三桂成」と「▲9四歩△同歩▲9三歩」のどちらが正解かは一概には言えません。結局は、その場その場で判断するしかないでしょう。
ただ、あくまで私の経験則ですが、「いきなり▲9三桂成」と突っ込んでいった方が上手くいく場合が多いです。
逆に言うと、「▲9四歩△同歩▲9三歩」の攻め方では微妙なケースが多い。まずはそこを解説します。
「▲9四歩△同歩▲9三歩」の攻防を解説!
端攻めの基本図を再掲します。
↑図から▲9四歩△同歩▲9三歩と攻撃開始。
これに対しては、△9三同香と取るのがもっとも自然ですね。▲9三同桂成と取って……
↑図で問題なのが、銀と桂馬、どちらで取るかですが、正解は△9三同桂。これを△9三同銀と取ってしまうと、後で▲9三角成と切る手が発生し、穴熊側は損です。
△9三同桂は、▲9四歩と打たれないので成立する取り方です(↓図)。
↑図でどう攻めを継続するか?
▲9四香と走るくらいですが、△9二歩(↓図)と受けられると、攻めが続くかどうか微妙です。
▲9九香と一枚足しても、△8一桂と相手も足して受けてきます(↓図)。
ここからは一例ですが、↑図から▲9三香成△同歩▲同香成△同銀▲同角成△同桂▲9四歩△9二歩(↓図)。
↑図から▲7五桂と足しても、△8一香の受けがあります。こうなると、ただ駒を交換しているだけで、あまり押し切れる感じがしませんね。
もちろん、これで穴熊側が受け切ったわけではなく、この後も難しい攻防戦は続きますが、少なくとも私は攻め切る自信がありません。
「▲9四歩△同歩▲9三歩」の攻め方が微妙な理由とは?
なぜ、「▲9四歩△同歩▲9三歩」の攻め方ではイマイチなのか?
原因は以下の二点です。
- 「▲9四歩の突き捨て」と「▲9三歩のタタキ」で相手に二歩渡しており、その歩を△9二歩などの受けに使われる
- 盤上に△9四歩が残っているので、穴熊側に△9三同桂と取られたときに▲9四歩と打てない
というわけで、最初の図に戻って考えます。
冒頭でも述べたように、↑図からは、いきなり▲9三桂成と攻めた方がよいでしょう。この方が、先ほど挙げた①②の欠点が発生しないからです。
▲9三桂成以下の攻防については、次回の記事で解説します。