妻「◯日って休みでしょ? 将棋大会の申し込みしといたから、頑張ってね」
は?
ちょっと何言ってんのかわかんない
妻が私の参加申し込みをしたのは、市民将棋大会です。本人じゃなくて、代理人による申し込みとか有効なの?
この市民将棋大会は毎年恒例で開催されており、私も過去に連続で参加し、優勝もしていました(→参加レポがあるから読んでね)。しかし前回は、ちょうど法事と被ってしまったために出場しませんでした。さすがに法事を放り出して将棋大会に出るのはアレなんで……。
そうやって一回不参加になると、なんだかヤル気が失せてしまうんですよね。仕事も忙しいから勉強する時間もなかなか取れないし。
しばらく前に妻から「今度の将棋大会、出ないの?」と聞かれましたが、「別に無理に参加しなくてもいいかなぁ~」と適当に返事していました。
そうしたら、この有り様だよ
妻は私の勤務シフト表を見て、「その日休みじゃん。イケるじゃん」と判断したようです。なんという行動力……。
まあ申し込んじゃったものは仕方ない、出場しましょう。対局はマジで2年ぶりです。どこまで指せるかなぁ。大会当日、不安しかないまま会場に到着しました。
大会の形式は「予選リーグ → 決勝トーナメント」
それではここで、市民将棋大会の形式を説明しておきましょう。前提として、参加者は「有段者クラス」と「級位者クラス」に分かれます。私は有段者クラス。ちなみに、参加人数は級位者クラスの方が多いですね。
まず、参加者を2つのブロックに分けて予選リーグを行います。ブロック内での総当たりです。私のブロックは4人のため、3局指します。勝っても負けても3局指すわけですね
そして、各ブロックの成績上位2名が決勝トーナメントに進出。最後は4名でのトーナメントで優勝を争うという形。
時間設定は30分切れ負け。一局が必ず1時間以内に終わるため、大会運営側としては進行の時間が読め、ありがたい設定です。
【予選第1局】2年前の決勝戦の再現
初戦の相手は、なんと2年前の大会の決勝戦で対決したお方。げーっ、ブランクもあるのに初っ端から強敵かよ……と正直困りましたが、どうしようもありません。
ただ、過去の対戦実績から、相手は居飛車党とわかっているので安心です。私は中飛車を採用。角交換~5筋の歩交換を決行しました。
△5四歩か△4四銀と思っていましたが、なんとここから△4四角! 早くも勝負手という感じです。私の▲5八飛バックに△5七歩と追撃。もうここまで踏み込んできたからには、収まりません。以下、相手は5筋に攻撃を集中させてきました。
相手もなかなか手が難しいです。陣形整備しようと△5一金右~△4二金右などと固めると、▲9六角と打たれていきなり困ります。かといって、△2二玉~△3二金などとやっても、今度は▲4一角などの手が発生するので、得になっているか怪しい。
私からは、強引ですが▲7九角や▲3九角と打って、5七歩を除去しに行く手も視野に入れていました。ですので、後手もあまりゆっくりはできず、攻めてくるだろうと予想していました。その通りに△7七角成と突っ込んできます。
ただ、これは無理筋っぽい。↑図から▲同銀△同銀成▲5三歩△同飛▲7五角と打ち、両取りが決まりました。
飛車が逃げた後に▲5七金と取ってしまえば、角得で大優勢です。ただ、清算してからの△5六歩(↓図)が意外にめんどくさくて悩みました。
▲5八金と引くのが普通ですが、△6九銀▲8八飛△5八銀成▲同飛△5七歩成が嫌だなぁと……
これを▲同角と取ると、△6八金!があります。▲同角ではなく▲同飛から飛車交換して、▲8二飛と王手で打つ筋があるから勝てるだろうとは思いましたが、相手にも飛車を打ち込まれるので、ちょっとヤな感じです。
というわけで、△5六歩と打ってきたのを▲同金と取ってしまい、△同飛▲5七銀△5一飛▲5六歩……と完全に収めに行きました。
チキンな順ですが、これでも駒得が残り、相手は歩切れなので、ちゃんと優勢を維持できています。相手は△7三桂と跳ねてきましたが、
これはパッと見で危険な一手。▲5五角打と重ね打つ手があるからです。これは①▲7三角成と、②▲3三角成から殺到しての寄せ、という両狙い。
②の寄せの順を深掘りするために、時間を大量投入してから▲5五角打としました。相手は△6四歩と軽く受けてきましたが、
ここで怯んでは、何のための▲5五角打かわかりません。当然、▲3三角成から殺到する一手です。▲3三角成△同桂▲同角成△同玉▲4五桂△4四玉。
この場面でどう指すか? 一歩間違えると△5四玉~△6三玉と逃げられそうですが、単純に▲5五銀△同飛▲同歩と進めました。
次に▲5四飛・▲3三銀・▲5三銀といった複数の詰めろがあるので、根元の桂馬を外す△4五玉くらいでしょう。これで玉が広く、意外と寄らないように見えますが、さにあらず。
▲5四飛と打って自陣へ戻るのを許さない。これで受けナッシングと読みました。△3五玉と早逃げするくらいですが、やはり▲3三銀と打って退路を断てば寄っています。
守備のために打った5七銀も働いています。「玉は包むように寄せよ」の典型例ですね。これで相手玉は受けなし、私の玉はまったく詰まずで勝ちが決まりました。
遡りますが、最後▲5四飛~▲3三銀の図まで想定してから、先ほど▲5五角打としました。2年のブランクの割には、しっかり読めたと思います。まあ複雑な分岐もなく、ほとんど一直線に近いので、そう難しくはないのが救いでした。
【予選第2局】居飛車穴熊相手に受け勝ちを目指す
2局目の相手は、初めて名前を見る“新顔さん”です。いちおう段位(自己申告ですが)は四段となっていたので、なかなか強敵の模様。私の▲7六歩に△8四歩と指してきたので、純・居飛車党のようです。私の中飛車に、相手は持久戦模様。
ここから相手は居飛車穴熊に、私は美濃囲いに組みました。お互いに堅陣を構築し、あとはどこから手を作っていくか……という展開でしたが、私が6筋から歩を突っかけて戦いが始まりました。
突っかけた後に気付きましたが、▲3七桂が入っていない(^^;) この形、どこかで相手は必ず△4五歩と来るので、そのときに▲4五同桂と取れるよう、3七桂を入れておくのは必須に近い。それを省いて動いてしまったのが、どう響いてくるか。
あー、やっぱアカン雰囲気になった(^^;) これは普通にヤバいです。仕方ないので、↑図から▲3五歩と誤魔化しにいきました。△3五同歩なら角道が止まるので時間が稼げる、△3五同角なら▲3六金の余地ができる。苦し紛れ以外の何物でもないですが。
相手は△4四金と出てきました。
これは一目危ない。こちらから▲5四歩の突き出し(7七角の利きで金取り)があるからです。どうするんだろ……と思って▲5四歩と突いたら、相手の手が止まりました。普通に見落としかよっ(笑)
たぶん若干優勢だと思いますが、しばらくは「相手の攻め・こちらの受け」という構図になります。相手は4~5筋に歩が立つので、細かい攻めがきく。穴熊も完璧な状態のため、攻め合いには絶対ならないので、こちらとしては受け切る必要があります。
相手は攻めをつなげようと必死ですが、上手くいなせた雰囲気に。途中、何も働いていなかった6五銀も味よく▲5六銀と引き付け、全軍受け切り態勢を目指します。そして迎えた↓図。
相手が歩を使い果たし、3枚の攻めになったのが大きい。4一飛も攻防のポジション。なんとか凌げたようです。ただし、次に△3八馬が王手飛車なので、それだけ受ける必要があります。私の第一感は▲1八玉の早逃げで、そう指しました。
相手の攻め駒4八金から遠ざかり、どこかで▲2八金と埋めれば完璧……などと思っていたら、△3八馬▲4五飛寄△2八銀とされました。
あれれ~?
おかしいぞ~?
普通に見落としました。こんな基本の筋を見落とすか~?(笑) ……って笑い事じゃないんですが。次に△2九馬の一手詰めなので、▲2六歩と脱出路を開けるしかないですが、△2九銀成がまた詰めろ。駒も補充されたし。
▲1七銀で△2八馬を防ぎますが、△3六桂と単純な足し算で詰めろがほどけない。▲2七金で2八の地点を増強しても、今度は△1九成銀▲同玉と下段に落としてから△2七馬。
あいやー、これは勝負あり。一瞬で寄り形に入ってしまいました。以下▲1八金と粘りましたが、馬取りを放置して△1六香!の強手がトドメ。▲2七金△1七香成と進んで受けがありません。無念の投了です。
戻って、▲1八玉と早逃げした場面では、先に▲4五飛寄としておけばよかったか? と後で思いましたが、それは△3六銀があるので、やはりおかしい。
結論ですが、▲1八玉の早逃げ自体は(たぶん)問題なく、△3八馬とされたときに(実戦の▲4五飛寄ではなくて)▲2八金と埋めればよかったです。こうすれば、守備陣を再構築できて、しっかり相手の攻めをシャットアウトできたっぽい。
【予選第3局】駒組み段階であっさり勝負がついた
1勝1敗で迎えた第3戦。戦型は相振り飛車になりました。ここで負けると予選落ちですが、駒が本格的にぶつかる前に勝負がつきました。
矢倉に対して石田流に組んじゃダメって教わらんかった?
相振り矢倉の優秀性を見せるための教科書か、この展開は? 次の▲3五銀が防げず、すでに優勢です。相手は△4五歩と開戦してきましたが、これは被害をさらに大きくしました。▲3五歩△同角▲同銀△同飛▲4四角打(↓図)。
苦心の末△2四銀とつないできましたが、▲3五角△同銀▲3三角成で飛車得です。うぇーい。
これは負けようがありません。以下、相手の喰い付きを丁寧に受け、完切れさせて投了に追い込みました。つーかアレだな、予選3局は受ける展開ばっかりだったな。でも、受けに回って相手の攻めを跳ね返して勝つのが気持ちいいんだよなぁ。フヒヒッ。
というわけで、2勝1敗の予選2位通過です。私に勝った人が1位通過。昼休憩をはさんで、もう片方のブロックの予選通過者2名を加えた、4人での決勝トーナメントを行います。その模様は次回の記事で。