振り飛車一筋・KYSの将棋ブログ

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数年ぶりに将棋大会に参戦!【中編】

今回の記事は、2020(令和2)年1月、市民将棋大会に参加したときの大会レポ・中編です。前編は↓こちら。

数年ぶりに将棋大会に参戦!【前編】

前回までのあらすじ数年ぶりに将棋が指したくなった私は、市民将棋大会へ参加することにした。迎えた予選第1局、いきなり昨年の準優勝者との対戦である。

【予選第1局】5筋位取り中飛車 vs 左美濃

※棋譜は便宜上先後逆で表記 = 見やすいように後手番の私を手前にしています。盤外の1~9および一~九の数字と食い違った指し手表記になっていますが、ご了承ください。

初手から△3四歩▲7六歩△6二銀とやや変則的な出だし。対して、私が▲5六歩と突いて第1図。

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第1図

おいおい、角交換から△5七角と打たれて馬を作られるじゃん! と思った人、それは大丈夫。▲5五角と打ち返せば1一香が助からないので、それはこっちが良し。

さて、ここから私は▲5八飛と中飛車に振り、▲5五歩の位取り。対して相手は持久戦の駒組み。進んで第2図。

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第2図

ここからは、▲7八飛と移動させて角をどかし、▲7五歩と桂頭を狙っていくのが形。
(ちなみに、9筋の端歩を突き合っていれば、▲9七香~▲9五歩△同歩▲9八飛の端攻めもあります)
というわけで、第2図から▲9五角△8三飛▲7八飛と進んで第3図。

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第3図

数手進み、お互いに金銀を締めて戦闘準備完了。ガッチリ組み合って第4図。

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第4図

この第4図から居飛車がボケっとしていると、振り飛車は▲7五歩から歩交換をして▲7六飛の好形に組めます。以下、▲7七桂~▲6五歩の仕掛けを狙って振り飛車十分の形。

ゆっくりできない居飛車は第4図から動いてきました。△5四歩▲同歩△同銀と進んだのが第5図。

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第5図

ここから▲5五歩△6三銀と進める手もあります。が、居飛車は5筋の歩が切れたので、将来的に△5七歩のタタキや△5一歩の底歩が打てます。これは振り飛車不満。

というわけで、強く▲7五歩と反撃します。一気に決戦に突入、もはや収まらない形です。▲7五歩△8六歩▲同歩△4五歩▲7四歩△6五桂……と進んで第6図。

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第6図

△6五桂と歩頭にタダで捨ててきたこの局面が問題。タダといっても、▲6五同歩と取ると△9九角成があります。

いや、そう進めて後で▲7七角とぶつける手もありますが、角がいなくなって△8六飛と走られると、8九桂・5六銀が両取りの十字飛車になります。

第6図から▲7三歩成といきたいですが、△7七歩と打たれて▲同桂に①△8六飛や②△7三飛があります。実際はどちらも振り飛車が良いはずですが、けっこう難しい。しっかり研究してないと、なかなか指せないかなぁと。いや、昔研究したはずですが、長年のブランクのせいで、きれいサッパリ忘れています(笑)

実戦では、第6図からひねって▲6五同銀?△同歩▲7三歩成といきましたが、これは普通に悪手(泣) 以下△7七歩▲同飛△8六飛▲8七歩△7六歩と自然に対応されて、私が不利になったのが第7図。

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第7図

ここから飛車を取り合う▲8六歩△7七歩成▲同桂は△6六歩と取り込まれて自信なし。しかし、そう進めるべきだったか。ひねって▲5七飛△8四飛▲5五歩と進めたのが第8図。

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第8図

△5五同銀なら▲2五桂と打つつもり。
もっとも、それでも私が不利ですが……。

ただ、相手もそれは嫌だったらしく、△5五同角と取ってきました。もう流れ的に▲5五同飛とぶった切るしかないよね。そう進んで第9図。

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第9図

うーん、悩む。
候補手がいくつかあって……

  1. 一手パスだけど、ダイレクトの飛車成りを防いで▲8六歩? でもそれは△5七歩でアカンなあ。▲5七同角は△8六飛、▲5七同金は△6九飛、▲5九金引は△6六歩。いずれもピッタリすぎて阿寒湖。▲8六歩は却下。
  2. 角を世に出す▲8六角? でも一番いいタイミングで△8六飛と切られたら、目も当てられない。これも却下。
  3. 軽く▲5三歩と垂らす? △8七飛成なら、▲5二歩成~▲9六角の龍金両取り。でも、そこから普通に△9六同龍でダメそう。
  4. とにかく、と金が遠すぎる! 間に合う気が微塵もしないけど▲6三と。本譜はヤケでこれを選びました(笑) しかし、以下さらに悪手を重ねて第10図。

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第10図

どこかで▲8六角と出られたらいいなあという都合のいい願望が透けて見える図ですね。いや、実際そうなった(第11図)のですが、攻め駒が重複しすぎて速度が遅すぎ。完全に手負けです。

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第11図

第11図から進んで第12図。

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第12図

この第12図は自玉が△3九角からの詰めろ。

  1. ▲5九歩と受けたいけど、以下△4八金と貼り付かれて△3八金~△3九角の筋を狙われてダメ。詰めろ詰めろで迫られて受けがない。
  2. ▲3九金打と受けて△3九角のスペースを消す? でもそれは△5四龍と引かれて終わる。

といっても他に選択肢もなく、本譜はやむを得ず▲5九歩。それに対して、相手は△4八金ではなく、△4七桂と打ってきたのが第13図。

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第13図

んんんんん???
この手はおかしいのでは?

王手をかけるなら△3九角しかありませんが、▲同金△同桂成の形が王手にならない。つまり、第13図は自玉が絶対詰まない形(俗にいうゼット)になっています。ということは、ここで詰めろが掛けられれば逆転できるのでは……。

まずパッと目につくのは▲4四桂や▲4一銀。しかし、読んですぐに「これは詰めろじゃない……」とわかります。

あれですね。相手の6六銀がよく利いてるんですよ。△4四玉や△5四玉と上部に逃げてきたときに、▲5五銀と打たれる手が消されているので。

うーん困った、他に攻め手が浮かばない……。攻めがダメならいったん受けるか? あー時間もなくなりそう、どうするどうする。つーか、ここで突然チャンスが回ってくるとか想定してねーよ(泣)

そして結局、指したのは▲4四桂。

──なぜ、詰めろではないとわかっている手を指したのですか?

もうめんどくさくなって(笑)

本譜は結局、▲4四桂に△4九龍とされて負け。

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無惨に私が散った図

自玉は受けなし。▲4九銀と龍を取るのは、△3九角▲3八玉△2八金(または△4八金)以下詰みます。相手玉はしばらく王手は続きますが、詰みはありません。

【検証】私に勝ちはなかったのか?

第13図に戻って、逆転する手がなかったかを検証します。

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再掲第13図

候補手① ▲3一銀

感想戦で指摘されたのが、一瞬自玉が安全なのを活かして、▲3一銀からバラして▲4三金(仮想図A)。ゼットの瞬間に殺到。ああ、そうかぁ……。

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仮想図A

仮想図A以下、△2二玉と逃げたら▲2五桂△3二金▲4四銀、△4一金なら▲3二銀!△同金▲4四桂で、これらはいずれも振りほどくのが相当困難。ただ……△4一銀と受けられると、ちょっと届かない気がします。

候補手② ▲5八歩

第13図では、▲5八歩と龍を取る手も考えました。△4九龍とされてダメと結論してしまったのですが、▲同銀と取っておきます(仮想図B)。

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仮想図B

対局中、この仮想図Bは自玉が詰みだと錯覚していました。△3九角▲3八玉△2八金▲4七玉△5七銀成……の筋です。が、5八歩がいるので△5七銀成とはできませんね。

私が頭の中に描いた仮想図Bでは、5八ではなく5九に歩がいました。5八歩は元々▲5九歩と打ったものなので、その残像のせいで、龍を取ったあと5八に移動しているのをウッカリ。

というわけで、▲5八歩と龍を取る手に△4九龍ではなく、△3九角と打ってどうなるか? 以下、▲同金△同龍▲1七玉△3八龍▲2八金……が一例ですが、これなら逆転のアヤがあったかも。

候補手③ ▲5八金

第13図では、▲5八金という龍の取り方もありました。以下、△3九角▲1八玉△2八金▲1七玉△3八金▲2六玉(仮想図C)までは絶対。

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仮想図C

この仮想図Cで私の玉が寄るかどうか。たとえば、△3五銀▲2五玉△3三金とすれば部分的には必死ですが、それは▲3一銀と打って相手玉が詰み。

対局中は△2四歩で受けが難しいと読んで断念したのですが、いま振り返ると、そこで軽く▲3六玉と寄れば逃げ切れていたかも。

仮想図Cは厳密には私が負けかもしれませんが、実戦的にはかなり難しそう。相手が間違える可能性は高かったと思います。

数年ぶりの対局は「楽しい」の一言

残念ながら、初戦で負けてしまいました。が、各ブロックの上位2名は決勝トーナメントに行けるので、残り4局を全部勝てば、まだ望みはあります。

それにしても、数年ぶりに将棋を指しましたが、いやー楽しいもんですね。

難しい場面で次の手を決断して踏み込むときのスリル感。終盤の詰む・詰まないとなったときのドキドキ感。そして、負けたときの悔しさ。

楽しいと悔しいが同居するこの感覚、何年ぶりでしょうか。

【予選第2局】三間飛車美濃 vs 三間飛車金無双

ここからは一つの負けも許されない戦いです。予選第2局。戦型は相振り飛車に。サクサク進んで第1図。盤面手前が私です。

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第1図

相手の金無双に対し、まさかの“教科書通りの攻め”が実現。普通はこの形にならないよう阻止してくるので、実戦で現れることはまずない局面ですが……。

第1図から、相手は△7四歩の非常手段。▲7四同飛△7三銀▲7六飛△7四歩……と進んで第2図。即席矢倉?を作って、こちらの攻めを受け止めようとしてきます。

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第2図

ここで▲6五桂か▲6五銀かで迷いました。▲6五銀と突撃をブチかませば簡単に潰せそうですが、以下△6三歩とされると、意外や意外、飛車の横利きもあって簡単には潰れないのか?

うーん、▲6五桂△8四銀▲7三歩△同桂▲7四飛……みたいに進めた方が手厚い気がする。でも、それは先が長そうだなあ。

……と悩んでいたら、ここで妻と娘が応援に到着。ニコニコして手を振ってくれました。よーし、一気に攻め潰してカッコイイところを見せちゃうぞ~(^^) 無駄に張り切る父、選んだ指し手は突撃ィーの▲6五銀。

──なぜ、微妙だと思った▲6五銀を指したのですか?

たぶん相手が間違えてくれるだろうと(笑)

幸い、こちらの▲6五銀に対して△同銀と取ってくれたので、▲同桂で桂馬まで捌けました。これは相手潰れの図です。形勢の針が一気にこちらに振れ、以下は難しいところなく押し切って勝ち。

と、第2局までの振り返りを終えたところで、今回の記事は終了。次回の後編が最後です。↓関連記事からどうぞ。

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数年ぶりに将棋大会に参戦!【後編】


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